偏差値38の長距離未経験者が中央大学主将として箱根駅伝を走る物語

エリートのみが集まる世界に、凡人が飛び込む

#16「努力とは何か」

授業の合間をぬって順調に練習を積めていた。

準部員として活動し始めてから3ヶ月が経ち、5000mの記録会に出ることになった。それまで良い練習が積めていたことと私にとって未知の世界でもあったため、ここで14分台を出して正式な部員になれると自信に満ちていた。

その野心は簡単に打ち砕かれる。

序盤は先頭集団についていくが、気がつくとひとり、またひとりと抜かれていく。私はバック走でもしていたのだろうか、あっという間に最下位になり、そのままゴールした。

タイムは15分49秒。チームでぶっちぎりの最下位、    “コクシカンの悲劇”となった。

減量をした、練習も絶えず行った、努力は報われないのか。いや違う、結果が出ていないのならそれはまだ努力と言えない。自分の未熟さを感じた。

結果が全ての世界に対する無知ゆえの過信があった。それを気づかせてくれた試合である。

 

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