偏差値38の長距離未経験者が中央大学主将として箱根駅伝を走る物語

エリートのみが集まる世界に、凡人が飛び込む

#23「準部員」

早いもので大学生活も3年目に入る。

相変わらず中山との差は縮まらない一方であった。その状況に指をくわえて眺めている自分でもない。

6月の5000mの記録会で中山と同じ組みで走ることとなった。練習もバラバラでやることが多かったので、同じレースを走るのは久しぶりであった。

自分の記録を出すことに重きをおく記録会ではあるが、私は中山に勝つことだけを考えて走る。

レース中盤、中山がひとり飛び出す。それに私は反応しついていく。反応したのは私だけであった。一騎打ちだ。

しかし、ラスト1km手前で離される。離されてからも粘ったが、負けた。

負けはしたが、中山との差を少し縮められたような気がしていた。

 

自信を取り戻した私は、夏の合宿で食らいつく。準部員時代に競い合っていた感覚を思い出しながら夏を過ごした。

 

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