偏差値38の長距離未経験者が中央大学主将として箱根駅伝を走る物語

エリートのみが集まる世界に、凡人が飛び込む

精神が崩れる体験

大学4年の全日本大学駅伝予選会で、通過は濃厚とされながらも、1組目で走った僕が脱水症状でレースを棄権、チームの全日本大学駅伝出場の目標を絶ってしまいました。

自分がひとり目指した目標の中での失敗なら、なんてことはなかったはずです。でも、チーム全員が目標としていた全日本大学駅伝出場、自分以外の人の目標や夢を台無しにしてしまったこと、8人しか走れない大会のチームの代表として、かつチームの主将として走ったにも関わらず、棄権をしてしまい迷惑をかけたことに責任を感じていました。

1番キツかったのは、倒れる寸前でもなく、倒れてから体が震えて嘔吐を続けていた時でもなく、体の状態が落ち着き、自分が何をしたのか理解した時でした。

悪い夢でも見ているかのようで、こんなにも最悪な状況が夢じゃないわけがない、こんなことはありえない、現実であることを認めたくなくて、いろいろなところに痛みを与えていました。もちろんそんな痛みを与えても目が覚めることはなく、少しずつ現実であることを理解し始めたことと、まだ夢であってほしいと願う感情が入り混じって、かなり混乱していました。

さらに時間が経って、完全にこれは現実であると理解した時に、自分の精神がまともじゃなくなりパニック状態のようになりました。車の天井に頭を打ち付けたり、本気で死ぬことを考えたり、発狂して暴れてもいました。

何よりも、死ぬことを考えたり、なりふりかまわず暴れたり、病院内で発狂したり、その行動を自分で制御できていないことに1番の恐怖を感じていました。精神が壊れてしまうのはこういうことなのか、自分の行動が制御できなくなることなのかと。それを考えてまた暴れて発狂する。このスパイラルに陥ってしまうことで精神が治らなくなり、元の生活に戻れなくなってしまうのか。それを考えてしまい、また恐怖に襲われる。永遠に続く負のスパイラルに陥っていました。今までに感じたことのない絶望感に包まれる経験をしました。

それからしばらく時間が経って、点滴などを打っていくうちに落ち着きを取り戻していくことができ、その後は自宅療養などを挟んで少しずつメンタルを回復することができ、今があります。

 

この経験を通じて、たとえキツいことがあって心がどん底に落ちても、時間が経てばなんとかなるんじゃないかと思えるようになりました。

 

キツいとか辛いとか感じてしまうことはもちろんあると思うんですが、

「それは今だけ!いずれなんとかなる!」

とか思っていると案外乗り越えられるしそういう心持ちでいることは大切なことなのかなと自分自身の経験を通じて感じたので、書いてみました。

 

本編へ:#29「それでも這い上がる」