偏差値38の長距離未経験者が中央大学主将として箱根駅伝を走る物語

エリートのみが集まる世界に、凡人が飛び込む

#13「浦島太郎」

中山ともう1人、準部員から一緒にやる仲間を含めて3人で共に部員昇格を目指す。

その日もジョギング練習であったが、来たばかりで土地勘もないので、先輩についていくことにした。それまで自分のペースで練習していたので、少し緊張していた。

軽快に走る先輩についていく。1km5分ペース、陸上部員からしたらなんてことのないペース。もちろん、私も高校時代はそのペースで練習していた。しかし、12kgの重りと2年間のブランクは私の体を老朽化させていた。

大学に受かり、準部員という形でも練習には参加させてもらえる、箱根駅伝を目指せる。有頂天であった私。

こんなすぐに人の体力は衰えるものなのか、私は玉手箱でも開けたのか。とにかく思い通りに体が動かない。

”ヤバい、倒れる“

息は上がり、肺がワイヤーで締め付けられるような痛みに襲われる。ついていくことができない。

走り始めて3kmで限界を迎え、リタイア。1人歩いて帰宅した。

 

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