偏差値38の長距離未経験者が中央大学主将として箱根駅伝を走る物語

エリートのみが集まる世界に、凡人が飛び込む

#22「はこねえきでん」

年が明け箱根駅伝が訪れる。

予選会で負けた私たちはチームとして箱根駅伝に出れない。選抜チームに選ばれたチームメイトを応援することしかできない。走路員として大会の補助員になり、沿道に立ち、他大学が走ってくる姿を見つめる。

テレビで見る箱根駅伝は、憧れの的であり、いつか自分も走るんだという希望をくれた。

1年前に初めて体感した、チームの一員として箱根駅伝に挑むことは、たとえ走っていなくてもチームとして挑む楽しさを教えてくれた。

しかし、走路員としての箱根駅伝に価値を見出すことはできなかった。チームとして出ていない、憧れを抱いて応援するわけでもない。今私は何をしているのだろうか。

 

今までで1番、箱根駅伝を遠くに感じた。

 

次の話へ:#23「準部員」