偏差値38の長距離未経験者が中央大学主将として箱根駅伝を走る物語

エリートのみが集まる世界に、凡人が飛び込む

#9「スタッドレスタイヤ」

人生2度目のセンター試験。前回同様とくに対策はしなかったが、8割を超える。自信を持って一般入試に臨めた。

今回も日程の早い大学を、安心材料として受ける。1つ、2つ、3つ、、、しっかりと地に足つけて、合格していく。滑る気配を感じなかった。滑りに滑っていた1年前とは違っていた。絶対に滑らない、確かな自信を持って、挑んだ。

試験を受け終わった直後に確信出来るほどであった。私は本命の中央大学理工学部に合格することが出来た。

「よしっ!」

1年間、いや2年間に及ぶ戦いに勝利した私は歓喜に満ち溢れていた。これでやっと箱根駅伝を目指すことができる、自分の夢への第一歩が達成できた!と。

2年間の苦労を解き放つように喜んでいた。

 

大学入学はスタート地点ですらない現実を叩きつけられることを、この時はまだ知らない。

 

                                                  浪人受験篇 完

 

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