偏差値38の長距離未経験者が中央大学主将として箱根駅伝を走る物語

エリートのみが集まる世界に、凡人が飛び込む

#12「反乱因子」

正式な部員としては扱えないが、準部員としてならと、練習に参加させてもらえることになった。

正式な部員の基準は5000mで14分台を出すことであった。それまでは、大学名の入ったジャージやユニフォームは着させてもらえない。

次の日から練習に行くと、大学生に混ざって中学生がいた。華奢な体つきの少年だった。近所の有望な中学生を、大学の練習に参加させているのかと感心していた。こうやって若いうちからスカウトし、強いチームを作っていくのか。

その日の練習を終えて帰宅していると後ろから声を掛けられる

「君も準部員なんだよね」

振り返ると、さっきの中学生がいた。

「中山顕って言います!同じ準部員、よろしく!」

近所の中学生と思っていた少年は、私と同じ準部員の同期であった。

 

私にとって重要な人物となり、のちにその経歴で大学陸上界を席巻する彼との最初の出会いである。

 

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