偏差値38の長距離未経験者が中央大学主将として箱根駅伝を走る物語

エリートのみが集まる世界に、凡人が飛び込む

#6「アディショナルタイム1年」

その後、奇跡的に1つだけ合格通知が来たのだが、箱根駅伝に出場することは諦められなかったので、私はもう1年受験勉強を頑張ることにした。大学が決まった友達を横目に、3月から切り替えて、少し離れた予備校に通い始めた。

通う中でちらほらと同じ境遇の人を見かけるようになったが、勉強なんかせず喋ってばかりいる人が多かった。浪人時代は友達を作った方が良いなどと聞いていたが、私は一切作らないことに決めた。

ひとり黙々と勉強し続ける、寂しいなんて感情は微塵も感じなかった。むしろ、何の邪魔もされずに勉強が出来ることに楽しさを感じていた。

 

ただひたすらに勉強し続けた。

 

 次の話へ:#7「勉狂」