偏差値38の長距離未経験者が中央大学主将として箱根駅伝を走る物語

エリートのみが集まる世界に、凡人が飛び込む

#7「勉狂」

勉強に明け暮れている日々の中にも私なりの楽しみはあった。

勉強以外の時間を削るチャレンジである。

朝起きてから、まず親に朝食をお願いする。料理ができるまでの時間で身支度を整える。洗顔、寝癖直し、着替え。朝食後は、歯磨きをしながら用をたす。電車に間に合うギリギリの時間まで家で勉強し、駅へ向かう。最寄り駅に到着すると8時の開校に間に合うように急ぐ。

昼休み、もちろん休まない。昼食もお茶で流し込む。

帰宅してもチャレンジは続く。お風呂タイムアタックだ。その名の通り、いかに早く洗い、温まるかを競うものである。

①頭から足先まで全身ちゃんと洗うこと

②湯船には1分以上浸かること

試行錯誤したが1分半の壁は高かった。

生活の全てを捧げて私は勉狂していた。

 

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